デッドストックブルーの色落ちをヴィンテージリーバイス大戦モデルと比べてみた
2000時間以上穿き込んでイイ感じになってきたデッドストックブルーの大戦モデル S1000XX
ヴィンテージの風合を再現するための経年変化を検証している一本となります。穿き込み期間は半年ほどですがヴィンテージのような味が出始めていると感じるのは親ばかでしょうか(*ノωノ)
デッドストックブルーの大戦デニムはリアルな組成
画像はウエアハウス デッドストックブルーの大戦モデルS1000XXとリーバイスオリジナルヴィンテージS501XXの腿から膝裏にかけてのものです。
501XXを何本も見てきましたが年代によって生地はかなり異なります。一口に「縦落ち」といっても様々な顔があります。長いラインの縦落ちもあれば点々と連続するような縦糸の組成もありますね。この大戦モデルの生地の縦糸はネップというのではなく太さにムラがある感じの組成に見えます。デッドストックブルーの大戦デニムはその経糸の感じをよく再現できていると感じます。おそらくサンプリングした個体が近しい年代であったのかと推察します。
リーバイスのデニムは右綾ですが、この綾の目の出方がリアルな再現に不可欠です。ちなみにリー社のデニムは左綾です。
上の画像でどちらがオリジナルかお分かりでしょうか。自分でも?となるほど💦正解は👀右がs501xxです。それくらい生地はリアルな再現がなされています。こんなによくできた生地なのでオリジナルの持つ凄みを再現できたらと思っています。もちろん77年の年月による経年変化を再現することは不可能でしょうけれでもウエアハウスは今回のデッドストックブルー生地の染色に酸化という手法を採用しています。酸化させることで70年ストックされていたインディゴの色調を再現しようとしたわけです。
純然たる作業着であったが故に存在するヴィンテージの持つ凄みと迫力
ヴィンテージとはデッドストックでない限り穿き手の汗や汚れを纏っています。現在でこそ501xxは数十万円もする高額品ですが70年前は純然たる作業着に過ぎません。人気のある丈夫なワークウェアであったわけです。
ある者は新品の糊の付いたままの501xxを穿いて坑道へ、ある者はワイフが洗濯して縮んだものを穿いて作業現場へと働きにいったわけです。当時は洗濯機も洗剤も現在とは異なっています。ほとんどの501xxは洗濯されることなく数日間穿き込まれて洗濯されたことでしょう。
そしてそのまんま、あるいは洗濯されて、積み上げられていたものがストックとして発掘され脚光を浴びるようになったのが1980年ごろでしょう。それまではただの古い作業着だったわけです。先見の明を持った日本やヨーロッパのXXハンター、ディーラーが全米各地から501XXを集めまくって現在のヴィンテージストックが形成されたのです。
ヴィンテージ501xxのよい物は多くが日本に存在するという事実をご存知でしょうか。当時アメリカでは古い501は見向きもされていませんでした。またフランスや日本でヴィンテージブームが沸き起こっても当のL社は反応しませんでした。ですから海外からのバイヤーは安価でデッドストックを倉庫から集めてくることが出来たのです。その後瞬く間に高騰し元の価格の何十倍となったのです。
現在では501xxを普段着にしようと考える人はほとんどいないでしょう。しかし前述のとおり本来作業着であったのです。着古されて汚れてダメージを受けた衣類なわけです。デッドストックなどを除けばストックが発見されたまんま商品となるはずもなくクリーニングが施されています。土汚れや黄ばみもできる限り除去されて古着屋のショーケースに陳列されたわけですが、とはいえインディゴという漂白できない生地特性ゆえに数十年来の経年変化は生地に刻まれ、それが我々を魅了し続けているのです。変な話といえばそれまでですが、ここにマニアを惹きつけるドラマがあるのでしょう。
酸化して黄ばんだ皮脂がデニムに凄みを加えるという現実
👆の画像はインスタ映えする風情ではないでしぃうか。ヴィンテージとデッドストックブルー共にいい顔に映っています。これは黄色がやや強調される補正を加えています。これがデニムにヴィンテージの風合を与えていることは間違いありません。この色調は原糸の綿の色合いなどの要素もあるとは思いますが、最大の要因は酸化した皮脂だと考えます。皮肉なようですが酸化して黄変した黄ばみがデニムにいい表情を加味しているのです。
しかし黄ばみが必要とはいえ色残りが少ないものは黄色がまさり不潔な感じを免れません。ヴィンテージにとって色残りは価格を決定する大きな要因です。濃紺のデニムは多少のダメージや汚れをも味方につけてしまいます。
黄は青と補色に近い関係にあります。インディゴが濃く残るデニムにイエローステッチが映えるのは周知に事実ですね。同様のロジックで色落ちした部分の黄色が映えるためには濃紺のインディゴが必要なのです。
凄みあるヴィンテージオーラを再現するにはインディゴをできるだけ残しっつ適度に生地に黄ばみを発生させる訳です。といっても特別な技術は必要ありません。当時の生活様式を検証すれば答えは見えてきます。
合成洗剤や全自動洗濯機がアメリカに普及していくのが1950年代です。乾燥機の普及はそののちとなります。大戦モデル、1940年代のデニムがどのように洗濯されていたでしょう。前述のとおりの作業着です。労働に専念する男が穿いていた501XX。ざっくりと石鹸で、いや水だけで洗われていたやも知れません。
数十年の経年変化を洗剤なしで洗濯することで再現してみる実験
このデッドストックブルーは一度も洗剤を使用していません。リジッドの糊落としから3度洗われていますが水洗いのみ。最近は明らかに黄ばみが現れています。汚れも完全には落ちずに残っている感じです💦
一般にデニムの洗濯方法として蛍光増白剤の入っていないデニム専用の洗剤で洗うことが推奨されていますし、これまでそのようにしてきました。白く色落ちした部分とインディゴの色残りのメリハリを楽しんで来ましたが、あまりにキレイに洗うといかにも現代のデニムといった面持ちになり何か物足りなさを感じていましたので、今回穿き込んでいるデッドストックブルーでの実験は面白くもあります。
1940年当時のように穿いてみたいと思わせるデッドストックブルー
👆は自然な感じに表現した画像です。マッチ痕なども再現されたデッドストックブルーとs501xxは瓜二つ。オリジナルの大戦モデルは77年の経年の割に黄ばみも少なく色残りもあるためオーラがあります。
冬にはマッチを擦って薪ストーブに火を入れ、キャンプでは焚火を前に料理をし、汚れた手をちょっと腿にこすりつけて(^_-)-☆何不自由のない時代に、古き良き時代を取り入れた人間らしい生活をこのデニムと送りたいものです(^^♪
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