リーバイス大戦モデルS501XXとはどのようなジーンズなのでしょう。
人気があるだけに大戦モデルについて巷にはさまざまな情報が溢れています。
研究された真実もあれば都市伝説に近いものまで存在します。
この記事では大戦モデルの生産背景から「リーバイス大戦モデルのシルエットは本当に太いのか」と題して大戦モデルの謎について筆者の見解をまとめてみました。
「リーバイス大戦モデルS501XXのシルエットは本当に太いのか」
ジーンズの世界では一般的には「大戦モデル」といえば1942~1945年の短い間に生産されたリーバイス501xxを指すと言っていいでしょう。
大戦期特有の13.5オンスのデニム生地
省略されたコインポケットのリベット
いびつなステッチワーク
月桂樹ボタンやドーナツボタン
ネルやヘリンボーンのスレキ
荒々しい縫製
これらに人気が集まってヴィンテージのオリジナルは市場ではお目にかからない程です。
またリーバイスの復刻モデルや国産のジーンズメーカーの再現性の高い優れたレプリカでも人気ですね。
現在「大戦モデル」と呼ばれる501XXが生産された当時の時代背景を見てみましょう。
物資統制下における仕様を簡素化された501XXが大戦モデルS501XX

第二次世界大戦が激化するなかアメリカ政府によって企業に対して製造に使用する材料や原料に厳しい制限が求められました。
銅は使用できなくなり自社独自のリベットやボタンの製造も停止されます。
汎用品として廉価な月桂樹の刻印の入ったボタンやドーナツボタンの使用を余儀なくされます。
リベットの数も最低限に制限されコインポケットのリベットは省略されます。
これらをリーバイス社は「Simplified=簡素化された」のSを冠してS501XXと名付けました。
高級品を製造してきたリーバイス社としては不本意な製品であったのです。
デニム生地だけは不思議なことにやや厚手の13.5オンスのものが一時的に採用されています。
生産工場によって仕様の異なる大戦モデルが存在する

皮肉なことに高級品であったリーバイス501XXは戦時下の価格統制によって価格をおさえて販売させられたため、戦争中にかつてないほど販売数が大きく伸びることになります。
ただでさえ戦時下で人手不足に悩んでいたリーバイスは生産数を増産するために経験の浅い未熟な職工も採用することになります。
当時リーバイスでは一般市民向けの製品を縫製する工場のほかに軍需生産に携わる工員用の製品を生産した工場や基地の購買で販売された製品など複数の生産ラインが存在しました。
▼一般市民向け製品の生産ライン
▼軍需産業従事者向け製品の生産ライン
▼米軍基地での販売製品の生産ライン
特定の工場から生産されたいびつな縫製の「荒々しい」大戦モデル

なかでも基地への供給を担った工場では人手不足から多くの経験の浅い職工が採用されました。
不本意ながら十分な技術を持たない職工の手からリーバイス大戦モデルS501XXが生産されたのです。
縫製技術の問題からミシンのピッチは大きく設定され糸も切れにくいように太い糸が採用されます。
それでも拙い技術から糸切れやステッチワークのいびつな製品が生産されます。
平時であればチェックしてアウトレットとなるようなものもスルーして製品化されました。
それらがいわゆる「大戦らしさ」が見られる荒々しい仕上がり?となっているわけです。
その工場ではやや細身のシルエットで股上の浅いモデルが生産されていたということです。

このS501XXはまさにそれに相当するのではないかと思っています。
筆者のリーバイスのオリジナル大戦モデルがありますのでじっくり観察したいと思います。
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