デニムと一口にいってもスリムなシルエットやブーツカットなど様々なスタイルが存在します。しかしそのルーツはリーバイス社が1880年代に発売した501に端を発します。
その501が完成された時代とされるのが第二次世界大戦の終わる1947年ごろと言われています。そしてそれは「47モデル」と呼ばれ今なお501の完成形と評価されています
【ジーンズ基礎知識】デニムの完成形リーバイス501XX 47モデルとは
「片面タブ」と呼ばれるリーバイス501XX47モデルはワークパンツ
1947年から1950年代初頭までに生産された501XX47モデルは「片面」とも呼ばれます。
これは有名な赤タブは1950年代初頭まで片面のみにリーバイスの刺繍が施されていたためです。
過度にデザインされていない素朴なワークウェアとしての存在感がこの時代までの特徴です。
腰回りはややゆったりとして膝から下はテーパーのないストレートなクセのないシルエット。
ビンテージらしくありつつも現代に通じる均整のとれた姿をしています
洗練されたスタイルではないところがワークパンツとしての完成度を感じさせます
終戦を機に大戦モデルから生まれ変わった47モデル
1946年 第二次世界大戦に勝利し祝賀ムードに沸くなかS501XX(大戦モデル)を廃止します。
ワークウェアを生産するにあたって常に高い水準で耐久性を求めてきたリーバイスにとって大戦モデルS501XXはS=Simplified 簡素化されたS501XXはある意味不本意な製品でした。
リベットや生地、縫製に至るまで妥協なく製造することを切望していたリーバイスは大戦が終焉を迎えると物資統制下で簡素化を強いられていたものを元に戻し完成度の高い501XXを製造できる体制へと推移させていきます。
その過程には1946年前後に生産された大戦モデル以上にレアな46モデルが存在します。
簡素化された大戦モデルから完成された47モデル 黄金期の501XXへ
46年モデルから以下の点が復活します
✅コインポケットのリベット
✅バックポケットのアーキュエイトステッチ
✅フロントフライのリーバイスボタン
これらが復活した501XXは1950年初頭まで若干の改良がなされながら製造され続けます。
その期間に生まれたモデルが501XX47モデルと呼ばれています
[ ONE SIDE ] と呼ばれる501XX 47モデルの赤タブ
1950年代以降の501XXと47モデルはどう異なるのでしょうか。
47モデルは「one side」とも呼ばれます。
これは特徴的なレッドタブから付けられた愛称です
501XXのバックポケットに縫いこまれたレッドタブにはLEVI’Sの刺繍が入れられています。1950年半ば以降は表と裏にこの刺繍が入るようになりますが1950年初頭までは片面だけに刺繍が入れられていることから47モデルは[one side]と呼ばれ1950年半ば以降の革パッチのXXと区別されます。
47モデルには前期と後期の区別が存在
47モデルは1940年代に生産されたものと1950年代のものでやや差異があり前期・後期と区別されます
前期の特徴
〇中央に寄ったリベットの刻印
〇持ち出し(ボタンフライ下端部)が処理されていない切りっぱなし
〇15ミリ程度ある極太のベルトループ
〇20cm程度ある長いサイドステッチ
このあたりが前期の特徴的なディテールです
リベット
中央寄りに打刻のあるリベットが特徴です くすんだトーンもたまりません
中央寄りの打刻ですがCOのOが大文字となっていますので初期のものではありません
こちらは持ち出しと呼ばれる箇所ですが初期のものは織り込まれていない「切りっぱなし」となります。
リベットの打刻と相まって40年代の後半に製造されたものの特徴を備えています。
47モデルは片面とも呼ばれ50年初頭までの製造ですが以下のポイントが中期の特徴となります
ベルトループが15mm程でである極太仕様であるのは初期・中期の特徴で魅力的なパーツです
サイドに施される補強のステッチをサイドステッチといいますが後期になるとぐっと短くなります。初期・中期には20cm以上あるものがありサイドからのルックスがグッと引き締まって見えます
大戦モデルでは省略を強いられたアーキュエイトステッチも美しく再現されています
リベットが復活したコインポケットにはセルビッジが見える生地遣いです
革パッチのカケラが辛うじて残っているのが確認できます
フロントボタンの裏側にヴィンテージの薫りがプンプンします
こちらはパッチの残った個体。パッチの下には本来のインディゴの魅惑的な色味が残っています
こちらは横糸が飛んだ状態のまま製品化されたものです。いかにもおおらかなアメリカらしい表情です
セルビッジの縫い合わせ部分が歪な幅でアタリとなって表れています。これも47モデルまでによく見られる表情です。
デニムの完成形と呼ばれる「黄金期のデニム」
501XXは50年代に入るとファッションアイテムとしての存在感を増していきます。
47モデルまでは純粋なワークウェアとして製造されたわけですから歪な縫製や生地が見られる47モデルが逆説的に「完成された形」のデニムと称されるのでしょう。
大戦期の不完全な生産が終わり生地や副資材、縫製など充実した体制で生産された501XXからは平和への喜びを感じますね。
本家リーバイスならではの47モデルの名作
現在47モデルはさまざまなジーンズメーカーが発売しています。
それぞれに特徴もありますがやはりリーバイス社の製品は本家のアーキュエイトステッチが魅力です。
他のメーカーには出せないオリジナルのオーラが味わえるのはコチラですね。
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